2023年6月 5日

日本人のタウリン摂取量の年次推移を初めて推定
~魚介類の摂取減に伴い8年で約2割減少~

大正製薬株式会社[本社:東京都豊島区 社長:上原 茂](以下、当社)は、日本人の中高年者の健康データ解析により健康維持に重要な成分タウリンの食事からの摂取量の年次推移を初めて推定しました。その結果、食事からの摂取量は8年(2002-2004年調査時~2010-2012年調査時)で約2割減少していることが分かりました。
なお、本成果の一部は2023年5月12~14日に開かれた第77回日本栄養・食糧学会大会で発表しました。

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背景

当社は長年に渡り、タウリン研究を行なってきました。最新の研究では、タウリンを約300mg╱日程度摂っている中高年者は、約100mg╱日程度の人に比べ脚の筋力を維持できている事が分かりました※1。タウリンは魚介類に多く含まれますが、人間の体内にも体重の0.1%に相当する量が存在しています※2。また、タウリンは、コレステロールを減らす、高血圧の予防などに効果があると言われているほか※2、約300mg╱日摂るとメタボリックシンドローム予防につながるとの報告もあります。
そこで今回、国立研究開発法人 国立長寿医療研究センターが保有するデータを解析することにより、日本人の中高年者(40歳以上の男女)のタウリン摂取量の年次推移を初めて推定しました。

 

研究成果

タウリンはビタミンやたんぱく質などのように、食品中の含量の公的な資料がありません。よって日本人のタウリン摂取量の報告は少なく、その年次推移の報告はほとんどないのが現状でした。
今回、食品からのタウリン摂取量を独自に推定した結果、300mg以上╱日の摂取者は減少し、約9割の中高年者は、目安となる300mg╱日よりも摂取量が少ないことが分かりました(図1)。

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また、食事からのタウリン摂取量を比較した結果、8年間で約2割減っていることが分かりました。平均摂取量も200mg未満╱日(2010-2012年時点)まで減少していました(図2)。

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この解析では、食事からのタウリン摂取のうち、7割以上が魚介類から摂られていました。その割合は8年間で減少しており、タウリン含量の少ない肉類からの摂取が増加していました(図3)。

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近年は、魚介類消費量の減少(図4)により、タウリン摂取量もさらに減少していると考えられます。

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研究成果のまとめ

今回の研究では、健康維持に重要な成分タウリンの摂取量の年次推移を日本人で初めて推定しました。その結果、食事からの摂取量は8年で約2割減少しており、中高年者の約9割が300mg未満╱日である可能性が示されました。普段の食事で不足分を補うためには、1日に1食程度、カキ、タコ、サンマなどの魚介類のメニューを食事に取り入れることで、約300mgのタウリン摂取が期待できます
当社はこれまで、タウリンと疲労回復の関連やタウリンが筋力維持に与える影響など様々な角度からタウリン研究を進めてきました。今後もタウリン研究を推進し、生活者の皆さまの健康で豊かな生活に貢献してまいります。

 

※1 2023年6月16~18日の第65回日本老年医学会学術集会で当社が発表予定(2023年5月9日プレスリリース
※2 厚生労働省e-ヘルスネット
※3 読んで効くタウリンのはなし(成山堂書店)

 

使用データ
国立長寿医療研究センター・老化に関する長期縦断疫学研究(NILS-LSA)1)の第3次調査(2002~2004年)と第7次調査(2010~2012年)

解析対象者
両調査に参加した愛知県在住の40歳以上(各調査時点)で、食事調査を行った男女2,204人(第3次調査)、2,145人(第7次調査)

食事からのタウリン推定摂取量の算出
文献値等をもとに5食品群(藻類、魚介類、肉類、卵類、乳類)について食品中のタウリン含量表を作成し、写真撮影を併用した連続する3日間の食事秤量記録調査を基に算出(栄養ドリンクなど医薬品・医薬部外品からの摂取量は含まない)

解析方法
第3次調査(2002~2004年)と第7次調査(2010~2012年)のタウリン摂取量の群間比較(対応のないt検定)を実施

1)国立長寿医療研究センター・老化に関する長期縦断疫学研究(NILS-LSA):愛知県大府市・東浦町の地域住民から性・年代別に層化無作為に選出された40歳以上の中高年者を対象に、医学・心理・運動・身体組成・栄養など多角的な観点から老化・老年病予防策を検討するコホート研究(同じ人を長期にわたって繰り返し調査する研究)。